提供:第一三共株式会社

患者さんを心の真ん中に。第一三共の“Patient Centricity”とは?
~私たちの活動のすべてが患者さんの“希望”につながっていくと信じている~

あなたが病気にかかったとき、少なからず戸惑いをおぼえるだろう。そんなとき、家族や医療スタッフなど、身近な人たちがあなたに寄り添い、サポートをしてくれる。一方、病気と闘う患者の力の一つになることを目指し、遠くから患者を想う存在がある。製薬会社も、その一つだ。製薬会社は医薬品を通じて患者に貢献するために、患者のことを考えた創薬や医薬品の質の向上を目指している。

あなたが病気にかかったとき、少なからず戸惑いをおぼえるだろう。そんなとき、家族や医療スタッフなど、身近な人たちがあなたに寄り添い、サポートをしてくれる。一方、病気と闘う患者の力の一つになることを目指し、遠くから患者を想う存在がある。製薬会社も、その一つだ。製薬会社は医薬品を通じて患者に貢献するために、患者のことを考えた創薬や医薬品の質の向上を目指している。
「世界中の人々の健康で豊かな生活に貢献する」をパーパスとする第一三共は、日本発の先進的グローバルヘルスケアカンパニーとして、患者を第一に考えながら創薬や日々の企業活動に取り組んでいる。その中心では、患者やその家族のニーズがあるという“当たり前”に真摯(しんし)に向き合うために患者の声に耳を傾けるなど、患者の想いに寄り添うことを目指したさまざまな活動を実践している。
こうした取り組みの根幹にある“Patient Centricity”とは。第一三共が考え、実践するPatient Centricityと創薬の考え方について、インタビューを通じてひも解いていく。
(LINEヤフー特別企画 編集部)

“Patient Centricity”はずっと社員の心にあり続ける大切な価値観

一般的に“Patient Centricity”とは、「患者中心」を意味する概念である。一つの解釈として、医療機関、製薬会社などが患者を中心に考え行動し、患者に焦点を当てた対応を行い、最終的に患者本人の判断を最大限に尊重することとされている。
こうした考えや行動規範は、近年医療にかかわる業界で広がっているが、第一三共では新しいものとはとらえられていない。表現する言葉は違っても「患者さんを心の真ん中におく」という価値観は、創業時から社員の心にあり、その価値観のもと患者への貢献を目指してきた。

話を聞いたのは、Patient Centricity特命担当の上野司津子さん。上野さんと6人の社員がワーキングチームを組み、第一三共グループ全体に働きかけ、Patient Centricityの取り組みを統合的に推進している。

「私が特命担当になったのは、2024年4月ですが、以前からPatient Centricityは第一三共にとって重要な価値観であり、一人ひとりが大切にしているマインドです。私たちの仕事は患者さんに薬をお届けすることですから、患者さんという最も大切なステークホルダーをいつも心においておくということは、創業時からずっと継承されてきたものです」

Patient Centricity特命担当の上野司津子さん
Patient Centricity特命担当の上野司津子さん

上野さんは続ける。
「このタイミングで特命を受けたのは、当社がこの先さらに患者さんとの価値共創を推進するために、グローバルに、また組織横断的にPatient Centricityをより一層進めていくという方針を掲げたからです。これまでさまざまな部所で自発的に行われてきたPatient Centricityの取り組みを今後は部所間で協力、共創しながら、バリューチェーン(創薬に関する研究から販売までの一連のプロセス)全体でより一層推進していきたいと考えています」

上野さんは、「これが自身の役割であり、薬に患者さんの声を生かすことがすべてのPatient Centricityに関する取り組みの要です」と力強く語った。

第一三共は、120余年の長い期間にわたり、「サイエンス&テクノロジー」を最大の強みとして、「サイエンスへの目利き力」や「薬を磨き上げる力」などを培ってきた。この強みがあるからこそ患者に貢献できると信じ、患者の声に真摯(しんし)に向き合いながら薬づくりに挑戦し続けている。

Patient Centricityを目指した患者志向のバリューチェーン活動
Patient Centricityを目指した患者志向のバリューチェーン活動

患者への想いをかたちに。それぞれのPatient Centricityを活かして。

第一三共にとって重要なPatient Centricityという価値観には、共通の定義はない。だからこそ、社員一人ひとりの心の中で育ち、さまざまなかたちとなって表れている。

「例えば、COMPASSという取り組みがあります」と上野さんは語る。
Compassion for Patients Strategyの略で、「患者志向の創薬」実現を推進する第一三共独自の取り組みだ。患者が求める医薬品を創出するための羅針盤(Compass)という意味が込められている。

Patient Centricityが重要といっても、製薬会社が直接患者と接する機会は限られている。
しかし、「患者さんのニーズや、真に患者さんから求められる薬は、科学論文だけではわからない。真に求められる薬を創製するためには、患者さんの声を聴く必要がある」というジレンマが、第一三共の有志を突き動かし、草の根的にCOMPASSという取り組みが始まった。

2014年に研究開発本部内の活動としてスタートし、現在は研究開発本部以外の社員も含め、15名のメンバーで運営している。運営メンバーでアイデアを出し合って、さまざまな活動を企画してきた。
今では患者による講演会の開催、他の製薬会社と共同での患者との対話イベント「Healthcare Café」の実施、活動報告や社員の闘病記などを第一三共の日本国内全社員へ共有する「COMPASSニュース」の発行など、活動の幅を広げている。イベントには社員が自由に参加できるようになっているという。

「患者さんの声を聴き、求められる薬や、飲みやすい、使いやすい薬を考え、創り、お届けすることはとても重要なことですから、COMPASSが草の根的に研究開発本部から始まったことは意味のあることです。社内でCOMPASSの知名度がどんどん上がり、興味を持って参加する社員が増えています」(上野さん)

「社員の自発的な活動がうれしい」と語る上野さん
「社員の自発的な活動がうれしい」と語る上野さん

患者の声を創薬に活かそうと活動をするCOMPASS。
一方で、薬の安全性に関わる安全管理本部では、本部の役割がPatient Centricityそのものだと捉えている。
その役割は、患者への適切な安全性情報の提供や、医薬品の正しい使用の推進によって、患者の安全を最大限確保し、医薬品のベネフィット・リスク(有効性・安全性)を最大化することにある。

「薬は有効性だけでなく、安全性も非常に大事です」と上野さんは語る。
薬は正しく使用されることでその本来の力を発揮できるのだ。

「安全管理本部は、安全面から患者さんのことを考え、わかりやすく安全性情報を伝える活動を、本部の役割として継続して行ってきました。2019年にWHO(世界保健機関)が9月17日をWorld Patient Safety Day(世界患者安全の日)と制定したことを機に、Patient Safety(患者安全)を担う部門である安全管理本部が、World Patient Safety Dayのテーマカラーであるオレンジ色のアイテムを身に着けて啓発活動を行ってきました。海外も含めた第一三共全体でPatient Safetyについてもっと考えていこうと、2024年に第一三共の各国の拠点でCSPV(Clinical Safety & Pharmacovigilance)フォーラムを開催しました」
*CSPV:開発段階から市販後までの製品ライフサイクルを通じて、安全性情報のモニタリングとリスクマネジメントを担う機能のこと

このフォーラムは、リスクマネジメントに関する具体事例の共有や、さまざまな部門とのパネルディスカッションが主体の社内イベント。フォーラムで安全管理本部の活動を社内に広め、安全性のリスク最小化への意識を全社で高めることが目的だ。安全管理本部には、それによって各部所での活動や連携を強化し、患者に安心して薬を使用してもらえるようになりたい、そんな想いがあったという。

安全管理本部のこうした想いで開催されたCSPVフォーラムもPatient Centricityがかたちとして表れたものの1つで、「Patient Centricityがかたちとなって表れたものは、このほかにもたくさんあり挙げきれません。社員一人ひとりがまじめに患者さんと向き合い、頑張っています」と上野さんは語る。

さまざまな部所の社員が、それぞれの立場で考え、日々Patient Centricityを実践している。

活動から気づきを得て、もっと患者さんに寄り添った創薬と安全性の追求へ

第一三共の社員は、“Patient Centricity”を活動というかたちにすることで、何を感じ、どのような気づきを得ているのだろうか。

COMPASSの運営メンバーの一人で、治験(新薬の効果や安全性を人で確かめる試験)のデータ収集・分析に携わる開発職の社員は、「患者さんのもとに、必要な薬を早く届けたい」という希望を持って製薬会社の研究職を目指した。入社後は研究者として、目の前の研究から治験に進む候補化合物(薬の候補となる化合物)を見つけることが患者の未来につながると信じて、仕事に取り組んできた。COMPASSに参加し始めたのは、開発職として治験に携わるようになってからだ。

COMPASS活動の一環として実施した、第6回Healthcare Café の様子
COMPASS活動の一環として実施した、第6回Healthcare Café の様子

「以前の業務よりも少しだけ患者さんに近い職になったことで、日常的な業務の中で何か工夫をすることで、もっと患者さんに寄り添った薬の開発ができるのではないかという想いが強くなりました。自主的に自分のできることを考え行動したいと思い、COMPASSの運営メンバーとなりました。たとえば、製薬会社合同のイベントであるHealthcare Café では、病気を経験した方々やそのご家族から、病気に立ち向かう『当事者』の声を聞き、心に深く刺さる言葉をたくさんいただきました」と話す。

さらに、他にも患者と直接対話をする機会に数多く参加したという。
「さまざまな立場の方からお話を伺い、他社の取り組みを知るにつれ、患者さんは治療のためだけに生きているのではなく、ご家族や周りの方と共にご自身らしく生きていくということが何よりも大切ということがわかりました」と語る。数多くのコミュニケーションの機会に恵まれ、もっと患者に寄り添った薬の開発ができるのではないかとの考えが強くなったという。

また、CSPVフォーラムの運営に携わった、安全管理本部の社員は、各部所が力を合わせて情報を共有し、協力して一緒に考えていくことが重要であると再認識したという。
「CSPVフォーラムでは、私たちの活動を知ってもらうために、薬の副作用についてのリスクマネジメントの軌跡や具体事例を共有するセッションを実施しました。また、社内のさまざまな部所と専門分野の視点で意見を交わすパネルディスカッションも行いました。これらのプログラムは、私たちの活動が患者さんのリスクを最小化するために、どう貢献しているのかを具体的に発信し、CSPVの活動を広く知ってもらうための良い機会になったと思います。また、パネルディスカッションでの対話を通じて、各部所がどのように連携し合うのかといった、Patient Centricityを推進するための全体像を描くことは、私たちの業務において非常に重要だと感じました」と振り返り、フォーラムの意義についてこう続けた。

World Patient Safety Dayのテーマカラーであるオレンジ色で埋めつくしたフォーラム会場
World Patient Safety Dayのテーマカラーであるオレンジ色で埋めつくしたフォーラム会場

「私たちの活動はすべて患者さんにつながると信じて、各部門や各自がPatient Centricityを実践していると思います。私たちの仕事は患者さんのためであることを再認識するとともに、私たち自身がそれぞれの仕事に誇りを感じる。今回のようなイベントがその役割を果たす一つになるのではないかと思っています」

治験から市販後まで一貫して患者の安全性を最大限確保するためには、副作用のモニタリングや対策を検討・実施することが重要だ。そのために各部所が協力し、情報を共有しながらともに考えていくことが、Patient Centricityの推進につながる。

創業時からの想い 患者さんとともに歩む第一三共の未来

第一三共のPatient Centricityは、患者の希望につながる創薬を目指して、さらなる進化と深化に向かっている。

最後に第一三共が考える創薬とは何かを上野さんに聞いた。

「私たちは患者さんのための薬を創っているので、患者さんを心の真ん中に置いておくことは非常に重要なことです。どういう薬が求められているのか、時には患者さんご自身も意識されていない潜在的なニーズも捉えていくことがイノベーションの源泉になると思っています。そのイノベーションを薬という形にするまで、サイエンス&テクノロジーの強みを活かし、長い年月をかけて創り上げていきます。そして、その薬を安定的に供給し、使いやすい形で届けて患者さんの期待に応えていくのが私たちのミッションです」

「常に患者さんから学んだことを生かしてより良い薬をつくり届け続けることが大切」
「常に患者さんから学んだことを生かしてより良い薬をつくり届け続けることが大切」

薬で患者さんに貢献したい。一緒に価値を創り上げていくのが第一三共の本質。社員一人ひとりが真摯(しんし)に取り組んでいることが誇りだと上野さんは言う。

「誰もがPatient Centricityを当たり前に考え、その中心的な役割を担い、みんなが患者さんのために創った薬を届けるという想いで邁進(まいしん)してほしいと考えています」(上野さん)

創業時から社員の心にあり続けたPatient Centricityは、さまざまなかたちとして表れ、さらなる広がりや深みを見せている。
これからも第一三共はPatient Centricityを軸に、最大の強みとするサイエンス&テクノロジーで、患者の希望となることを目指す。

Patient Centricityに向けた取り組み【第一三共株式会社】(外部サイト)
患者さんの声を医薬品開発に活かす【特設サイト「サイエンス。それは、希望。」】(外部サイト)