提供:総務省・経済産業省

きっちりマスター しっかりアンサー 経済センサス-活動調査

2021年6月1日

「経済センサス-活動調査」をご存知ですか?国内すべての事業所・企業から、事業内容や売上金額など経済活動に関する回答を集め、日本の産業構造の実態を明らかにするとても重要な調査です。そして、本年6月1日に第3回目の調査が実施されます。ここでは、調査へ理解を深めるとともに、回答にあたっての疑問や不安にお答えするコンテンツをお届けします。

日本国内の事業所や企業の経済活動を明らかにすることを目的に、本年6月1日に行う「経済センサス-活動調査」。ここでは識者にお話を伺いながら、経済センサスの「なぜ?」や「何?」に迫ります。経済センサス-活動調査への理解を深めていただけるよう、調査の目的や方法、調査結果の利活用などについてわかりやすく解説します。

藻谷 浩介さん

答えてくれた人

日本総合研究所 主任研究員

藻谷 浩介さん

平成合併前の全3200市町村、海外114か国を自費で訪問し、地域特性を多面的に把握。地域振興、人口成熟問題、観光振興などに関し研究・著作・講演を行う。2012年より現職。

  • 01

    Q

    経済センサス-活動調査って
    どんな調査?

    A

    例えるなら“日本経済の人間ドック”。国内の事業所・企業の実態を把握し、日本経済の健康状態を診断するために、なくてはならない調査です。

    経済センサス-活動調査は、企業や事業所に、事業内容、従業者の数、売上金額や費用総額などを回答いただき、日本の“経済と産業のイマ”を把握する調査です。
    経済センサス-活動調査はいわば“日本経済の人間ドック”。数年に1度、人間ドックを受診することが、病気の早期発見や健康寿命の延長につながるように、日本経済の健康状態も、経済センサス-活動調査の調査項目に含まれるさまざまな数値を通してチェックしておかないと、本当のところがわかりません。よく聞くGDP(国内総生産)などの経済指標も、その多くは、経済センサス-活動調査の調査結果が元になっているのです。

    なお、「センサス」とは英語で「全数調査」という意味です。日本国内に住む全員に回答いただくものとして国勢調査がありますが、経済センサスは言うなれば「経済の国勢調査」です。国内すべての事業所・企業に調査票を配布し、回答いただいています。

  • 02

    Q

    いつどんな経緯で始まったの?

    A

    日本経済の実態把握に欠かせない経済センサスですが、始まったのは、2009年(平成21年)と最近です。省庁別にあったさまざまな調査を統合しました。

    経済センサスが初めて実施されたのは、今から12年前の2009年でした。当時はリーマンショックが起こり、正確な経済指標が特に求められるようになった時期です。
    それまでは、複数の省庁が産業分野ごとにそれぞれ異なる時期に大規模統計調査を行っていました。その調査結果を統合してGDPなどを計算していたのですが、調査時点がバラバラのうえ、業種の判定ができない企業が調査から漏れてしまっていました。つまり、国の経済政策の基本となるデータを正確に取得できていなかったのです。
    そこで誕生したのが「経済センサス」。すべての事業所・企業の経済活動を定点観測することで、日本経済の実態はどうなっているのかきちんと把握することを目指しています。
    こうした目的のもと、経済センサスは事業所・企業の経済活動の状況を明らかにする「経済センサス-活動調査」と、基本的構造を明らかにする「経済センサス‐基礎調査」の2つから成り立っています。

  • 03

    Q

    調査対象は?

    A

    大企業から個人事業主まで規模に関わらず、全国の事業所・企業を調査対象として、回答をお願いしています。

    経済センサス-活動調査の調査対象は、全国の事業所・企業です。ここでいう事業所とは、(1)単一の経営主体のもと、(2)一定の場所で、(3)従業者と設備を持ち、(4)継続的に経済活動をしている組織のこと。つまり個人商店から企業の工場や倉庫、学校などの公共機関まで広く調査対象となります。NPO法人や、売り上げのない事務所なども、給与を支払っている従業者がいれば事業所に該当します。

    ただし、農林業や漁業に関わる個人の事業所は調査の対象外となります。これら第一次産業は、食料自給率など安全保障面でも重要となるさまざまな数値を正確に把握する必要があることから、農林水産省が主管となり別途詳細な調査が実施されています。また、家事サービス業を営む事業所や、外国公務に携わる事業所も対象外となります。

  • 04

    Q

    どんな調査項目があるの?

    A

    名称、事業の内容といった基本的な項目と、売上金額・費用総額、資本金の額といった経済実態を示す項目があります。

    経済センサス-活動調査の項目は、会社の名称や所在地、従業者数(雇用者数)、事業内容といった基本的構造を知るための「基礎項目」、売上金額・費用総額をはじめ経済活動の状況を把握するための「経理項目」の2つで成り立っています。
    事業所・企業が現況を回答するいわば住民票のようなもので、各種統計調査を実施するための母集団情報(事業所・企業の一覧リスト)を整備する役割も担っています。

    中でも、従業者数と売上は、先述の“日本経済の健康診断”という経済センサス-活動調査の目的上、最も重要な項目です。自社の収支を正確に把握されていない事業所もあるかもしれません。ですが調査は本当に必要最低限の項目に絞られていますので、回答をよい機会に数字を調べてみてはいかがでしょうか。

  • 05

    Q

    他の経済調査と比較した
    経済センサス-活動調査の
    特徴・価値は?

    A

    売上、雇用といった基本的な経済指標を、全数調査によって正確に捕捉できることが大きな特徴で、これは国にとっても企業にとってもたいへん重要なことです。

    官民に関わらず、経済や産業の動向をつかむために実施される調査はサンプル調査が大半です。これに対して、経済センサス-活動調査は全国の事業所・企業を対象とした全数調査であることから、地域別、産業別といった細かい単位で、唯一無二のデータを取得できます。
    良識ある大人がきちんと人間ドックを受診するように、こうした経済の基盤データが調べられていることは先進国家の証ともいえます。データを元に機動的な経済政策運営が可能になり、結果として、回答した事業所・企業すべての利益にもなります。

  • 06

    Q

    経済センサス-活動調査では
    どんなことがわかるの?

    A

    産業別、地域別に集計することにより、まさに草の根レベルで経済活動の実態や変化がわかります。

    実は、全国で稼働している企業・事業所数を知ることができるのは、経済センサスだけなのです。これがなければ、日本経済の基本のキすらわからないことになります。
    さらに、経済センサスの最もすばらしい価値は、“地域別”、“産業別”にデータを分割可能なところにあります。調査結果を読み解くことで、伸びている産業や地域がわかり、産業ごと、地域ごとに気を付けなければならない変化もわかります。地域の自治体にとっても、予算をどう使ってどの産業を支えていくべきなのか、具体的な指針を得ることができ、それが地域の企業の利益にもなります。

    企業・事業者側の負担も考慮され、調査は毎年ではなく5年ごとになります。震災やこの度の新型コロナウイルス感染症といった大きな出来事が、長い目で見て産業にどのような影響を与えるのか、またそれにどう対処すべきかも、5年おきの数値から読み取れます。

  • 07

    Q

    経済センサスはどのように
    活用されるの?

    A

    国や地方公共団体の行政施策のほか、民間企業の経営計画などにも、社会経済の発展を支える基礎データとして広く活用できます。

    令和3年経済センサス-活動調査の集計結果は日本社会の共有財産として、総務省と経済産業省のホームページにおいて無料で公開され、どなたでも閲覧と利用が可能です。
    行政分野では、都道府県、地域別に細分化可能なデータが、国や自治体、研究機関などによって政策立案に生かされ、経済活性化の原動力のひとつにもなっています。
    一方で民間企業にとって経済センサスの結果は、ビジネスのタネとなるデータを探り出す魚群探知機のようなもの。例えば、企業が飲食店の新規オープンを検討する際、出店候補エリアの産業別事業所数のデータを参照して出店余地の判断に使うことができます。これは一例で、経済センサスのデータの活用可能性は、業種や地域によって無数に存在します。

    なお、今回の経済センサス-活動調査の結果は、速報結果が2022年(令和4年)5月までに、確報結果が2022年(令和4年)9月頃から順次公開されます。

取材・文:ユウミハイフィールド
企画・編集:ヤフー特別企画編集部+ノオト